もくじ
【築古DIY】築50年の平屋で井戸ポンプが動かない!原因調査の始まり

もし蛇口をひねっても水が出なかったら——。
築50年の平屋に設置されていた古いナショナル製の井戸ポンプ。見た目からして「これは交換しかないだろう…」と思えるほど年季が入っています。
実は以前にも井戸ポンプを直した経験がありましたが、そのときは比較的新しい機種(使用10年程度)でした。今回は10年以上も放置されていた空き家。正直「これは無理でしょ…」という気持ちでした。
物件概要(築50年・平屋12.5坪・10年空き家)
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築年数:50年
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延床面積:12.5坪
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状況:10年間空き家
購入時、不動産屋さんからは「井戸は使えないですよ」「動くわけないでしょ」と言われていました。
確かに他の設備もボロボロで、井戸ポンプのことはあまり気にしていませんでした。
ただ契約が終わり、電気を通していざ蛇口をひねってみると…
井戸ポンプから水が出ない!症状とトラブルの発覚

「お! ポンプが動いたぞ!」
そう、ポンプ自体は回り始めたのです。
しかし、水は一滴も出てこない……。
やっぱり10年も放置していたから仕方ないか、と諦めかけました。
でも井戸ポンプ本体を新品に交換すると20万円以上。
一方で、この物件は庭まで市の水道管が来ていて、メーターを取り付ければ水道水が使える状態。ただしその費用は25万円前後。
「だったらまずはダメ元で直してみるか!」
ということで、修理に挑戦することにしました。
蛇口をひねっても水が出ないときのチェックポイント

10年も眠っていた井戸ポンプ。考えられる原因は数多くあります。
DIYでの修理なので手探りですが、最低限のチェックポイントを整理しました。
ポンプは動いているのに圧がかからない場合

ポンプカバーを開けると、中は長年の汚れで“終わってる感”が強烈…。
それでもモーターは元気に回っています。
ただし音は大きく響き、水を吸い上げられず空回りしている様子。
10年ぶりに動いたので、内部のパッキンやシールが劣化している可能性も大。
でも「勢いよく回っているのに水が出ない」この状況、原因は呼び水トラブルかも?
井戸ポンプが水を吸わないときの点検方法

井戸ポンプが水を吸わないときは、原因を一つひとつ確認していくしかありません。
今現在賃貸として入居者様が居るわけでも無いので気楽に作業できます。
「直らなければポンプ交換か市の水道を使う」という気持ちで、気楽に進めましょう。
今回は 素人でも比較的簡単にできる点検箇所 をまとめます。
ポンプ本体の作動チェック

まずはポンプ本体が動いているかを確認します。
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電源を入れて蛇口をひねりポンプが作動するかどうか?
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モーター動作音もチェックする。
イラストでいうと「6番」がモーター部分です。
モーターが一定の唸り音で力強く回っていればOK。
もし回転が不安定だったり弱々しい場合は、水を汲み上げる力が足りず水は出ません。
その場合は残念ながらポンプ交換が必要になります。
圧力スイッチの点検手順

圧力スイッチは「12番」のタンクに関連する部品で、タンク内の水量と水圧に応じてポンプをON/OFFさせる役割があります。
水が出始めてから確認する項目になりますが、不具合があると…
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モーターが回らない
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電源がON・OFFを連続で繰り返す
といった症状が出ます。
圧力スイッチは 5,000円前後で購入可能。分解修理よりも交換のほうが早くて確実です。

圧力スイッチも一度、YouTubeでも紹介されていて分解したことがあります。
ですが、5,000円くらいで新品が購入できるなら分解するよりも交換した方が確実です。
タンク内部の洗浄

タンクそのものが原因で水が全く出ないことは少ないですが、内部のサビや汚れで水の出が悪くなることがあります。
特に10年も放置されていたタンクの水は……間違いなく腐っています!

洗浄方法はシンプルです。
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タンクに付いているプラグ(栓)を外す
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水を抜いて新しい水を入れる
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これを3回以上繰り返す(きれいな水になるまで!)
⚠ 注意点
プラグを外すときはタンク内に圧力がかかっているため、勢いよく腐った水が噴き出す危険があります。服や顔に浴びないよう、慎重に作業してください。
ジェットポンプの詰まり確認

井戸ポンプが水を吸い上げられないとき、最も疑わしいのが ジェットポンプの詰まり です。
まず呼び水を確認です!
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呼び水を溢れるまで注ぎ、満水状態が維持できればOK
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水が減ってしまう場合はアウト(呼び水が落ちる)
呼び水が減るときは、ジェットポンプの逆止弁に藻や何かしらの異物が詰まっている可能性が高いです。
なお、呼び水の補充は意外と量が必要で、多いときは 10L以上。
そのため、20Lの灯油缶に水を汲んで用意しておくと安心です。
呼び水が溜まらない原因
井戸ポンプが「動いているのに水が出ない」場合、最も多い原因は 呼び水が溜まらないことではないでしょうか?
その主な原因は次の2つに絞られます。
1.下のイラストの14番(塩ビパイプ)が、破損している。
2.ジェットポンプ逆止弁の詰まり。
1. 塩ビパイプ(イラスト14番)の破損
地下水まで延びている塩ビパイプが破損していると、そこから水が抜けて呼び水が維持できなくなります。
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深井戸の場合:20m以上の塩ビパイプを連結
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浅井戸の場合:4m程度
このポンプはジェットポンプ式で深井戸タイプなので、井戸穴には2本の塩ビパイプが挿入されています。
どちらか1本でも破損すれば、水は吸い上げられません。
考えられる破損原因:
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パイプ連結作業時の無理な力
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長年の劣化や凍結による塩ビパイプのひび割れ
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地震などで井戸穴が歪み、パイプに負荷がかかり破損
2. ジェットポンプ逆止弁の詰まり
もう一つ多いのが、ジェットポンプの逆止弁の詰まりです。
逆止弁は「汲み上げた水が井戸に戻らないようにする弁」ですが、藻やゴミが噛み込むと閉まりきらず、水が逆流してしまいます。
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ジェットポンプは、井戸底に向かって塩ビパイプの先端に取り付けられている部品
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深井戸の場合、地中20m以上の場所に設置
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目視点検するには配管ごと井戸から引き上げる必要があり、DIYでは非常に大変
実際に私も過去に抜き上げた経験がありますが、一人ではほぼ不可能で正直かなりきつかったです。
目視したことがありますが、見た目では詰まりは確認できません。
なので、地下から抜くときは、交換するときです。
ただし、必ずしも抜かなくても改善できるケースがあります。
過去に2回試して、2回とも運よく詰まりが解消できました。今回の井戸でも成功しています。
ナショナルPG-308FUAをDIY修理!ジェットポンプ詰まり解消の流れ

古い井戸ポンプに関わらず、長い間電源を落として放置していると内部の水が井戸下に落ち、空気が溜まってしまいます。
その結果、ポンプが空回りして水を吸い上げられなくなるのです。
まずは 呼び水がいっぱいになるかどうか を点検します。
イラストの「3番キャップ」を開け、水を注いで満水にします。

水が溢れるまで呼び水を注ぎます。
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水が溢れても減らなければOK → ジェットポンプの詰まりは無し!
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水が減ってしまう場合 → 呼び水が維持できず、別の原因あり
今回の井戸ポンプは10年間放置されていたため、やはり呼び水が溜まりませんでした…。
ここからが少し厄介です。
ジェットポンプを持ち上げて内部詰まりを除去

イラストの「14番」の先端にジェットポンプが取り付けられているんです。
写真は以前、他の物件で同じように呼び水が溜まらない症状があり、ジェットポンプを交換したことがあります。その時の現物!

ジェットポンプには、逆止弁がありポンプから井戸穴に水が戻らないようにしてるんです。
この逆止弁が藻や何かしらの異物が挟まり弁が完全に閉まらないとポンプまで上がった水が戻ってしまうんです。
(呼び水を入れても落ちてしまう。)
この詰まりを、ジェットポンプを交換する前に試した方が良いことがあります。(作業は自己責任で!)
プロの職人さんなら本来なら交換が確実ですが、DIYなので「荒療法」を試す方法があります。

荒療法で詰まりを解消する方法(自己責任!)
やり方はシンプルですが、かなり力が必要です。
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ポンプ本体と「14番」の井戸配管を切り離す
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このときパッキンを傷めないよう注意(破損するとエア混入の原因になる)
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配管を上下に素早く動かす(50cmくらいを目安に)
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繰り返し揺さぶって刺激を与える
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内容的には、井戸下のジェットポンプを刺激を与えて詰まりを除去する方法です。
やり方としては、
まず、ポンプ本体とイラスト14番の井戸配管を離します。
この時に、パッキンを傷めないように注意です。(切れてしまうとエアが混入する原因になる為)

次に、井戸配管を上下に持ち上げたり下げたりを繰り返します。
出来るだけ素早く50cmくらい上下に動かす感じです。
⚠ 注意点
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井戸配管を井戸穴に落とさないこと!
深井戸は20〜30m以上あるため、落とすと回収不可能です。
井戸配管が井戸穴の中に落ちないように注意です。
井戸穴の中に配管を落としてしまうと、持ち上げることは出来ないです。
深井戸の井戸穴は深さ30m以上あるはずです。
- 塩ビパイプは4m単位で繋いであり、全長20m前後。重さもあるので必ず慎重に作業してください。
深い穴に井戸配管は、4mの塩ビパイプを繋いで20m前後の長さしかありません。
なので、井戸配管を井戸穴に落としてしまうと手の届かない下の方まで落ちて取れなくなります。
上の写真のように、塩ビパイプがL字になるように作業することをお勧めします。

井戸ポンプのメーカ-によってなのか?
それとも、職人さんによってなのか?
井戸配管の塩ビパイプが井戸穴に落ちても引き上げられるようにジェットポンプにロープを巻いてある場合があるんです。
下の写真のようにロープさえあれば、安全なんですよね。

古い井戸でもロ-プが井戸穴から出ている井戸もあるので心配はないのですが、ロープが無い井戸を作業するときは要注意です。
呼び水を正しく入れて水が出た瞬間

荒療法でこの井戸ポンプは、呼び水が溜まるようになりました。
呼び水が、いっぱいになったので蛇口をひねってみましたら……..

出ました!
「ゴボゴボッ!」と音を立てながら、茶色く濁った水が勢いよく出てきました!
——まさに勝利の瞬間です。
水が出ても、すぐに飲料には使えません。
この後は、水質検査をするために、井戸洗いをします。
井戸洗いと言っても、1日3時間くらい水を流したまま4日から5日洗います。
簡易的ですが、アマゾンで購入した水質テストを実施してますが、今回は飲み水としては使用せずに風呂、トイレ、キッチン食器洗い、洗濯として使用してもらいます。
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呼び水が維持できない → ジェットポンプの逆止弁詰まりを疑う
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荒療法(配管を上下に揺さぶる)で改善するケースあり
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作業は重労働かつ自己責任、落下事故には要注意
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復活後は必ず水質検査&井戸洗いを行うこと
呼び水の正しい入れ方と注意点

井戸ポンプを復活させるうえで欠かせないのが「呼び水」。
しかし入れ方を間違えると、いくら水を注いでも水が出ないことがあります。
実は今回、この呼び水で大きく苦戦しました。
上の写真で解るように呼び水をジョーゴで勢いよく入れてたら呼び水が、いっぱいになっても井戸水が蛇口をひねって出なかったんです。
呼び水が、いっぱいなのに水がでない???
なんで??
ここから3日間くらい原因が解らず苦戦してました。

井戸水が出ない原因と全然関係ない部品を外してバラしてみたり……..
「全然わかんね-わ!」

いろいろやってたら、呼び水用で用意していた水も少なく……
ペットボトルから少しずつ入れてたんです……..
そうしたら………
普通に水が蛇口から「ゴボゴボ」といいながら吹き出てきたんです……
原因は、呼び水の入れ方でした……..
おそらく、ジョーゴで勢いよく水を注ぐと井戸ポンプないで隙間に水が行き渡る前に、いっぱいになって空気が残ってしまいエア噛みで水が上がらない現象が起きていたみたいです。
ペットボトルからゆっくりと呼び水を入れていくと、井戸ポンプ内部に隅々まで水が入り込んで空気を抜くことができるみたいです。
新しい井戸ポンプなら少しくらい空気があってもポンプの力が強く水が出るのかもしれませんが、30年物で10年間電気すら流れていない井戸ポンプでは無理だったみたいです。
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勢いよく注ぐ → 空気が残りやすい → 水が上がらない
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ゆっくり注ぐ → 内部の空気を押し出せる → 水が上がる
使用したポンプの型番とスペック情報

このポンプの銘板です。 「91-17854」の 91 という数字が、製造年コードである可能性が高いです。
ナショナルのこの世代のポンプでは、先頭の数字が 西暦下二桁を示しているケースが多いです。
👉 つまり、この個体は 30年以上前の1991年製(平成3年頃) の可能性が濃厚です。
ナショナル PG-308FUA(深井戸用ホームポンプ)について
項目 | 内容 |
---|---|
型式 | PG-308FUA |
定格電圧 | 100V |
定格周波数 | 50Hz |
消費電力 | 650W |
使用環境 | 屋外 |
吸上高さ | 最大 10m |
揚程(全揚程) | 18m |
吐出量(目安) | 約 27ℓ/分(吸上高さ10m時・揚程18m時) |
最大吐出圧力 | 約 1.8kgf/cm²(≒0.18MPa) |
運転電流 | 6.5A |
始動電流 | 30A |
吐出口径 | 25A(25mm) |
吸入口径 | 25A(25mm) |
まとめ|井戸ポンプが水を吸わないときの対処法

素人がDIYで直す限界もたくさんありますが、故障している機器を新品交換するならダメもとで挑戦するのもありですよ!
呼び水の確認は最初にやるべきこと
私の持論ですが、ポンプが回っていれば必ず水は出るはずです。
ただし、通電していない期間が長いと呼び水が落ちてしまい、水が出ないケースが非常に多いです。
つまり、井戸ポンプが「動いているのに水が出ない」ときは、まず 呼び水の確認 から始めるのが鉄則です。
DIYで解決できない場合は業者依頼も検討
水が出ないとDIYどころではありません。
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水洗トイレも使えない
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洗い物もできない
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作業自体が進まない
こうなると1日DIYに取り組むのも厳しいですよね。
井戸修理に時間をかけすぎるよりも、状況によっては プロの職人さんに依頼する方が確実で早い 場合もあります。
👉 まとめると
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まずは「呼び水」が最優先のチェック項目
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DIYで直らなければ無理せずプロに頼る
これを覚えておくだけで、無駄な遠回りを防げます。
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